高架門で22

私のどっぷり妄想のウォンキュ小説をあまり日を開けずに書いちゃいました。

自分でもビックリ。

このままサクサクいけたらいいのに

ではではここからは優しい目で見れる方のみお進みください。ウォンキュの意味が分からない方や苦手な方はUターンしてくださいね。

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その日は突然にやってきた。

あと一週間後に迫った卒業式を迎えると、キュヒョンがこの学園に来ることもなくなる。

放課後の見廻りを任されたキュヒョンは部活が終わったばかりの運動部のグラウンドを横切り、冬場は使われることのないプールの前に来て足が止まった。

夏の夜、シウォンと忍び込んで入った甘い甘い記憶が蘇ってくる。月夜の下、初めて見たシウォンの躰は彫刻みたいで同じ男として自信をなくすところだった。

あの後、風邪を引いて三日間寝込んだ僕を心配して美術室の前でウロウロしてたところをヒチョル先生に見られたって言ってたっけ。

なんだかもう随分昔のことのようだ。

冷たい北風が吹くと鼻と耳から冷たくなっていく。

まだ所に残る雪を見ながらグラウンドを一周し、校舎に戻ると一年生の部屋から順に見廻りをしていった。

そういえばイェソンの弟は一年生だと言っていた。

廊下ですれ違ったことはあるかもしれないが、生徒が多いと誰が誰だか分からない。ましてや一年生の担当ではないキュヒョンはまだ会ったことがなかった。

そう思うとシウォンとこの学園で出会ったのも奇跡に近いものがある。

イェソンの事にしたってそうだ。

あの日、イェソンがシウォンを目撃しなかったら、なぜ自分の前から姿を消したのか分からなかった。

彼にはただ感謝だった。

僕たちのことを口外しないように弟に話してくれたのも、シウォンの事を教えてくれたのも。

そして静かにジャズが流れる店内でイェソンが僕が落ち着くまでずっと側にいて待っていてくれたことも。

君たちの道が繋がっていることを祈るよ

帰り際に言われた言葉がずっと胸に残っている。

初めてシウォンと教師と生徒の境を超えたとき、同じことを考えていた。

アパートへ続く道がやけに遠く感じた。この道をシウォンはどんな気持ちで走って向かったのか。もう少しのところで会えなかったことをどう思っているのか。

僕に何を伝えたかったのか。

それは僕にとって良いことか悪いことかさえ分からない。

凍てつく寒さの中からアパートに戻った後、キュヒョンは意を決して電話をかけてみた。

こんな時間にかけて迷惑だろうか。

シウォンが出たら最初に何から話そうか。

心臓がバクバクして口から出そうだった。

緊張して震える指に力が入る。一呼吸してボタンを押すと

おかけになった電話番号は現在使われていません

と、虚しくアナウンスの声が流れ続けるだけだった。

もしかしたらシウォンの声が聞けるかも

という淡い期待はその瞬間砕け散った。

何もかも遅かったと後悔しても時間だけが過ぎていく。

君と歩む道がずっと繋がっていたらいいのに

そう思ったのは僕だけだったのかもしれない。

あ、先生さようなら〜

さようなら

部活動を終えた生徒達の姿を見るのもあと少しだ。

代理で来てやっと学園に慣れてきたところだったが、これで良かったのかもしれない。常識では考えられない倫理に外れた僕がこのまま生徒達に一体何を教えるのか。

パク主任に採用試験を勧められたがそんな気になれるはずもなかった。

主任室の前まで来ると廊下の窓から見える夕日が空を赤く染め、グラウンドにいる生徒も家路を急ぎ吐く息を白くしていた。

廊下に目を戻すと窓から差し込むオレンジの光のその先に、見覚えのあるシルエットがあった。

先生

ドクンと心臓の跳ねる音が分かった。

久しぶりに聞いた声と少し痩せた顔がそこにある。

ごくりと唾を飲み込むと鼓動が早くなった。

いつもと雰囲気が違うように感じて足がすくんで動けないキュヒョンの前にゆっくり向かって歩いてくる姿はまるでスローモーションのようだった。

このまま時が止まってしまうのかと思った。

目の前にシウォンがいる。

嘘?なんで?

もう会えないかと思っていたのに。

手を伸ばせば掴める距離にシウォンがいる。

僕はまだ覚えてる。

シウォンが低い声でキュヒョナと呼ぶ声も、僕を見る目がいつも優しかったのも、ゴツゴツした手の甲も、前髪を?き上げる仕草も

また背が高くなった?

ああ、そうかも。休んでる間も体を鍛えてたから

そっか

震える声がひっくり返りそうだった。

微笑むシウォンを見て、何から話せばいいのか、何を話せばいいのか、ずっと会いたくて声を聞きたかったのに、胸が詰まって涙が出そうになる。

僕は今、どんな顔をしてるんだろう?

ちゃんと笑えてるだろうか?普通に喋れただろうか?

口を開きかけたところで上手く言葉が出てこない。

ああのさ

お〜い。シウォ〜ン

リョウガ

キュヒョンの背後から彼を呼びながら駆け寄って来た生徒はキムリョウクだった。

何だかデジャみたいだ。前にも一度こんなことがあった気がする。

ドクンドクンと早鐘を打つ心臓の音が聞こえないように平静を装うのにいっぱいだった。

もう!遅いよシウォナ!みんな待ってたんだからね!ほら、早く

シウォンの腕を掴み連れて行こうとするリョウクはとても嬉しそうだ。

ちょっと待てって。先生、何か言いかけなかったですか?

ううん。何も

震える唇をつぐんで小さく首を横に振った。

そう?それじゃあ先生

うん

先生さよ〜なら〜

さよなら

リョウクの屈託のない笑顔が羨ましかった。きっと彼も久しぶりにシウォンに会えたのだろう。

みんな集まってるよ。ヒョクもドンヘもいるから

なんで生徒会室にドンヘまでいるんだよ

いいじゃ〜ん。もう生徒会は引退したんだから固いこと言わないで。あれ?シウォナ、また背が伸びたんじゃない?もう!やめてよー!これ以上僕との身長差つけないでよね。あ、そうそう、この前さ

2人の会話が遠くなって聞こえなくなっていく。

立ち尽くしたまま2人が小さくなっていくのをぼんやりと眺めていた。

楽しそうに話しているシウォンはやっぱり学生で生徒だった。

僕はいつも同じことを考える。

なんで彼は年下なんだろう。

なんで彼は生徒なんだろう。

彼の中に僕という存在がまだ残っているだろうか。

なんとなく違和感を感じたのは温度差なのか、僕のことはもう忘れたのか、シウォンは何事もなかったかのように普通だった。

僕たちは教師と生徒。

ただ、それだけだ。

つづく。

画像はお借りしています。ありがとうございます。